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【配偶者居住権】

やつしろぷれす2021年2月号では,「配偶者短期居住権」について解説しました。配偶者短期居住権とは,被相続人の配偶者が相続開始時に被相続人の建物に無償で居住していた場合に,被相続人の意思にかかわらず,配偶者に無償で短期の居住権を認めるものです。

今回は,同居している夫婦の一方が亡くなった場合,もう一方が亡くなるまで同居していた建物に住み続けることができる「配偶者居住権」について解説します。

同居している夫婦の一方が亡くなった場合に,夫婦のもう一方はそのままそこに住み続けることを希望することが多いでしょう。このような場合,夫婦のもう一方以外に相続人がいないのであれば,特に問題なくそのまま住み続けることができるでしょう。しかし,他に相続人がいる場合には,配偶者居住権の取得について検討する必要があります。

配偶者居住権は,以下の場合に成立します。

⑴当事者の意思による取得

①配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していたこと

②被相続人が居住建物を配偶者以外の者と共有していないこと

③遺産分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき

又は

配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき

又は

被相続人と配偶者との間に,配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与契約があるとき

⑵遺産分割審判による取得

共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき

又は

配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権を希望する旨を申し出た場合において,居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するため特に必要があると認めるとき

具体的には,夫婦の一方が亡くなった時点で夫婦が同居している必要があります。また,その時点で住んでいた建物が,亡くなった方の単独所有か夫婦の共有でなければなりません。また,遺産分割協議がまとまった場合であれば問題ありませんが,そうでなければ当然に配偶者居住権が認められるわけではないので注意が必要です。夫婦の一方が亡くなる前に,配偶者居住権について検討しておくことが望ましいでしょう。

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監修/弁護士法人 Si-Law 西田幸広先生

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