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【地域の魅力的な事業を継承し、未来をつくる事業承継】part2

[オーナーAさんとの出会い]

 現在、八代ゴルフ倶楽部の会長である藪さんは、30年前、八代ゴルフ倶楽部より「グリーンキーパーをしてほしい」と言われました。藪さんはゴルフ経験もなく、芝の知識もありませんでしたが、「作ったことがあるお米と同じイネ科だ」と考え引き受けることにしました。

 当時、藪さんは38歳。夜はグリーンキーパーに必要な知識を得るため、専門書をずっと読み込み、グリーンキーパーとして職務を全うしてこられました。しかし、グリーンのことをよく知らない上司が口を出してきて、仕方なく上司の言うとおりに芝生の管理を続けたところ、芝は枯れてしまい、グリーンの状態が悪くなっていきました。その結果、お客様の来場も減少し続け、経営も傾いていきました。しかし、約10年前、そんな倒産の危機に陥りそうになったとき、ゴルフ愛好家のAさんが経営難の八代ゴルフ倶楽部に1000万円を貸してくれました。これが藪さんとAさんとの最初の出会いでした。

[新社長になり、経営難が続く]

 その後、Aさんは八代ゴルフ倶楽部にいる8名の株主から、一人ずつ株式を買収していく決意をされました。株式を過半数取ったところで、株主総会を開催し、Aさんはオーナーとなりました。当時、一社員としてグリーンキーパーをしていた藪さんは、他の取締役が辞める最中、20年近く勤めた八代ゴルフ倶楽部に一人残り、この場所を残したい一心で新社長に就任しました。しかし、新社長になってからがトラブルの連続でした。一社員から新社長になった藪さんに対し、残った株主(兼役員)の反発は非常に強いものがありました。それでも藪さんは粘り強く話をし、オーナーAさんと株式の買収を進めたそうです。

 さらに、設立時20年後には全額償還を約束されている一口240万円のゴルフ会員権がありましたが、経営難により全額償還できるような状況ではなかったので一口6割の支払いで交渉していきました。しかし、満額償還を求められ、支払うことができず度々強制執行となり、執行官や弁護士がゴルフ倶楽部に来ては、現金を持っていくことが続きました。

[民事再生による経営再建]

 度重なる強制執行に耐えられず、弁護士に相談し民事再生の申し立てを決断。藪さんは一人で決断できず困窮していましたが、オーナーAさんの絶対的なバックアップのお陰で前へと進めていくことができました。

 民事再生の完了まで約2年かかりましたが、再生が終了すると通常の運営へと戻りました。資金投入によりグリーンは更にきれいになり、新しいグリーンキーパーにも恵まれ顧客満足度も上昇し、来場者数も徐々に増加していきました。

 民事再生から7年経った今、「藪さんで良かった」とお客様から言われ、価値が下がっていた会員権の相場も回復することができました。「オーナーAさんに出会ってなければ今はなかった。オーナーAさんに救ってもらった」と、藪さんは温かい笑顔で当時を振り返っていました。

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監修/弁護士法人 Si-Law  弁護士・司法書士 西田幸広先生

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