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【遺留分】 

 民法の「遺留分」に関する規定が改正され、2019年に施行されています。その概要について確認するため、以下のような事例を見てみましょう。

Aが死亡し、その相続人はAの子であるBとCであった。Aは1000万円相当の不動産を所有しており、その他に特に財産はない。Aは、生前に遺言を作成しており、その内容は、財産の全てをBに遺贈するというものであった。

 遺言どおりになると、Cは全く財産を得られないことになります。ここで、遺留分とは、相続財産の一定の割合について、兄弟姉妹以外の相続人に取り分が保障されるというものです。相続人が直系尊属(父母、祖父母などの上の世代を指します)のみの場合は、相続財産の3分の1、それ以外の場合には、相続財産の2分の1が、遺留分として保障されます。

 すなわち、上記のような遺言があったとしても、Cは財産を得ることができるのです。

 上記の事例でいうと、Cの本来の相続分は500万円ですので、その2分の1にあたる250万円分が保障されます。ここで、改正前においては、CAが所有していた土地の250万分にあたる4分の1について持分を取得することになっていました。その結果、土地はBCの共有状態となります。

しかし、改正によって、Cが請求できるのは金銭に限られることになり、名称も遺留分侵害請求に変更されました。上記事例でいうと、Bが土地をすべて取得し、Cに対して250万円を支払うことになります。

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 このように、遺言によって自分が相続財産を得られないのではないかという場合であっても、一定の金銭を取得できる場合があります。もっとも、遺留分侵害請求権の行使は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内にしなければ時効により消滅します(知らなくとも相続開始から10年でも消滅します)。

 したがって、上記事例のような状況であれば、できる限り早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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監修/月出・長嶺法律事務所 弁護士 立山 晴大先生

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