ケンのやつしろ放浪記 vol.6

『水島への早春のペダル』

 春の太陽が顔を出していたので、ふと八代の名所に出かけようと思いました。万葉集に登場する水島のことを耳にしていたので、早春のそよ風に髪をなびかせながら、自転車で向かいました。球磨川沿いを走ると、目の前に絶景が広がります。右側は雄大な球磨川と八代海、左側には多くの畑があり、数羽の白鷺の餌狩り姿も見かけました。白鷺が朝日に照らされて白く輝く姿と、威風凛々とした姿はとても立派でした。

 水島に近づくと、神社の青い瓦屋根が目に入ります。島と神社は想像よりも小さく、満潮で神社が海に浮かんで見える風景を見たかったのですが、残念ながらその時は干潮でした。しかし周りの露出していた岩は逆にとても素敵で、「これは絵のネタになるぞ」と思い、島を少し散策してみることにしました。神社に架かる橋を渡り、しめ縄の下を潜って中に踏み入ると、左側の水盤の隣に口から手水が出る可愛いらしい龍の頭が。軒下には木の板に焼きつけられた墨絵のような絵が二枚飾ってあり、いずれも大胆な「龍王」の字と私が大好きな龍が描かれていました。それらを見ただけで行った甲斐があり、「よか経験ののさったな!」と思いました。

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筆者:シュラッグ・ケネス

八代市役所の国際課で国際交流員として勤務中。国際交流員(Coordinator for International Relations、略してCIR)はJETプログラム※より地方公共団体の国際交流担当部局などに配属され、さまざまな国際交流活動に従事しています。

※語学指導等を行う外国青年招致事業