一家離散で心閉ざした思春期
導いてくれた恩師や地域に感謝
八代には松浜軒や八代城址、五家荘、日奈久温泉、石工の郷など、全国に誇る名所旧跡が点在しています。その歴史や伝統文化の魅力を国内外に広く発信、伝えている『やつしろ観光ガイド協会』。宮﨑さんは2023年から、家業の宮﨑工業の代表を務めながら同会の会長として奔走しています。「今でこそ協会会長や県観光ガイド連絡協議会の副会長など、様々なお役目をいただいておりますが、中学時代の私からは想像もできないことだと思います」と当時を振り返ります。
中学2年の時、事業に失敗し家族が離散。親戚の家を転々としていた宮﨑さんは「学校にも足が向かず、その日の食事もままならない日も。将来の夢も閉ざされ、バイトに明け暮れていました」。歴史好きだった宮﨑さんは地元の高校に進学。何もかも嫌になった時期もありましたが、そんな宮﨑さんに対して「将来結婚して子を産んだ時、今の姿をどう説明するか」と、厳しくも正面から向き合ってくれた恩師との出会いが、新たな人生への扉を開けてくれました。
高校卒業後バスガイドの道へ。そこからは、持って生まれた負けず嫌いな性分が奏功。観光地の歴史や文化などの暗記発表でも力を発揮し、九州横断や九州一周、四国、中国地方、関西とガイドを任せてもらえるようになりました。ある日、添乗した慰安旅行中の代表に「観光って“光を見る”と書くでしょ。だから明るい光を見られるような案内をお願いします」と言われたことがあったそう。この言葉は、宮﨑さんが観光案内の仕事をさらに極める上での土台になっています。
八代の魅力を伝え続け地元に恩返し
県南地域の発展につなげたい
バスガイドの経験を通して、自身の中に芽生えたのが、「旅が好き」そして「地元の魅力を多くの人に伝えていきたい」という熱い想いでした。その後も、休日は旅行会社の添乗ガイドや熊本城の案内など観光ガイドを継続。やつしろ観光ガイド協会の仕事は、今では宮﨑さんのライフワークの一つになりつつあります。「最近は海外のお客様も増え、英語での案内などのご要望もあります。ガイドも20代から80代まで幅広い年代の方に登録いただき、活動の幅を広げています」。
9月に設立10周年を迎える同会。「今年は熊本で開催される大型観光キャンペーンの準備などでさらに忙しくなりそうです」と宮﨑さん。その瞳は自身が生まれ、育ててもらった地域への恩返し、そして県内地域の発展に向けられています。

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●宮﨑 和代さん(56歳)
1969年、鏡町生まれ。氷川高校卒業後、九州産交グループに入社。25歳で結婚、出産。専門学校でプログラミングや経理事務を学び、地元企業に就職。その後、家業の宮﨑工業で経理や営業に奔走。2015年代表取締役に。同年に発足した「やつしろ観光ガイド協会」に登録。2023年から同会会長を務める。
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