やつしろの働くひと vol.27

やつしろぷれす やつしろの働くひと

大工 田口 柾哉さん

地元循環型の家造りを受け継ぐ

田口 柾哉

八代市鏡町在住、26才。熊本工業高校建築科卒。二級建築士。高校卒業後、熊本市内のハウスメーカーに入社し、3年間勤めた後、21才の時に父親が経営している「土壁の家工房㈲田口技建」に入社。5年目となる今年、初めて新築の仕事を任され、現場で大工頭を務めている。趣味はギターを弾くことと小学生から続けている剣道。祖父母、両親、弟の6人家族。

伝統的構法の家造りを見て育ち、大工になる夢を抱く。

“土に還るもので家を創ろう”がコンセプトの「土壁の家工房㈲田口技建」は、八代市鏡町にある建築会社です。家造りの素材のほとんどをエネルギーコストのかからない地元近くの山の木や土を使い、職人の手造り、手刻みによる『伝統的構法』で家を建てるのが特徴です。田口 柾哉さんは同社の三代目。幼い頃から会社の工場で遊びながら、創業者である祖父や現社長の父が働く姿を見て育ちました。物心ついた時から「将来は大工になりたい」と思っていたそうです。

工業高校で建築を学び、卒業後は熊本市内にある㈱新規建築に入社しました。社員60名、おかかえの大工もたくさんいた大きな会社は、「自分が子どもの時から見てきたうちの会社の家造りとは、構法から建材まですべてが違っていて衝撃的だった」と振り返ります。入社3年ほどが経ち、担当を任されるようになってきた頃、田口技建での仕事が増えてきたことにより、会社を手伝って欲しいと父親に言われたことがきっかけで退社を決意。21歳で田口技建に入社して柾哉さんは、大工の基本の木配り・墨付け・刻みや基礎工事・造成工事など全てゼロから覚える“大工修行”が始まりました。

現在施工を担当している家。施主さんと細かく打ち合わせをしながら家造りを進めていきます。

先人の知恵や技術を生かすために日々精進あるのみ

「入社してすぐは材料運搬、水道の配管・補修・取替えなどなんでもやりました。その中でも家を正確に建てるための基礎工事が一番難しく苦労しました」と言う柾哉さん。また「お客様に伝統的構法の土壁の家の特徴や性質を理解していただき、永く住み継いでもらいたい」という会社の理念にある通り、日本の建築文化で培われてきた素材や構法の技術を活かした家造りをするために、勉強することは山ほどあるそう。

この先の展望をたずねると、「“しっかり受け継ぐこと”です。まだまだ半人前なので、とにかく日々の業務を懸命に行っていい家を造ること。いずれは父のような建築士になりたいですね」と、はにかみながら話してくれました。

数か月練り置きした上質の土壁に繊維の強い藺草を練り込む。
乾燥した荒壁に土中塗りをした後、藺草と漆喰を混ぜて仕上げることで壁の消臭効果もあるそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。