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 「故意」や「過失」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

刑事事件の場合は故意の存否が有罪か無罪の分岐点になることがありますし,民事事件の場合に過失の存否や程度は損害賠償責任の内容に大きく影響します。このように,故意や過失は法律上重要な役割をもっています。では,故意や過失とはどのような意味でしょうか。過失については別の機会に扱うことにして,今回は故意の意味について考えてみます。

国語辞典を引いてみると,「故意」は「わざとすること。」と説明されています。では,次の場合にAさんに傷害罪の故意は認められるでしょうか。

① AさんはBさんをケガさせる目的でBさんに石を投げつけてケガを負わせた。

② AさんはBさんをケガさせる目的までは無かったが,Bさんに当たってケガさせてしまう可能性があることを認識しつつ,そうなってもいいやと考えてBさんの方向に石を投げ,結果としてBさんにケガを負わせた。

①の場合は「わざと」ケガをさせたと言えることに異論はないでしょう。では,②の場合はどうでしょうか。故意が認められると考える人もそうでない人も両方いるのではないでしょうか。そうだとすると,「わざとすること」という説明では,②のような場合にAさんに傷害罪が成立するかどうかを判断できないことになってしまいます。

では,法律上「故意」はどのように説明されているでしょうか。一般的には,「犯罪事実の発生を認識し,かつ,認容していること」と説明されます。ここでいう「認容」とは,「そうなってもいいや」と受け入れる心理状態を指します。そこで,もう一度②の場合を見てみると,AさんはBさんにケガさせる可能性があることを認識し,かつ,そうなってもいいやと受け入れて認容していますので,故意があるということになります。Bさんをケガさせる目的があったかどうかは問いません。このように,犯罪結果の発生は確実ではないけれども,犯罪事実の発生を認識・認容している場合を「未必(みひつ)の故意」と呼びます。

故意の存否が問題となる事案は多くあります。危険なあおり運転を行って事故を発生させ,その結果として被害者を死亡させた者に,殺人罪の故意が認められるかといった場合も,犯罪事実の発生(自分の行為が人を死亡させる危険をもつ行為であり,その行為の結果,実際に人を死亡させる可能性があること)を認識・認容しているかを検討することになります。

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