あの人に会いたい。File.10

周りに迷惑かけてきた人生 恩師と母の教え胸に “人を楽しませる”道へ

 黄色いヘルメットに「大」の文字が書かれた前掛け、濃い口髭、太い眉―。八代市を中心に、あちこちで“笑い”を届ける現場監督こと「大ちゃん」に扮し、精力的に活動を続ける山口彩さん。

 「とにかく、周りの人を楽しませることが私の役割」と話す彩さんは自身の人生を、「周りに迷惑ばかりかけてきた」と振り返ります。

 小学校時代にいじめをしてしまったことから、当時の担任があえて卒業までの3年間、当事者同士を同じクラスに。「その子をサポートする役割やボランティアに参加するきっかけを与えてくれたことから、人との関わり方や人の痛みが少しずつ分かるようになった」と言います。

 目の前に困った人がいたら自分が代わりに解決しようとする。理不尽なことが起きるとその原因を追究したくなるー。猪突猛進な性格の彩さんは、分からないことやおかしいと思ったことを突き詰める性格で、ホームレスや外国人労働者の問題についても常に母親に「なぜ?」を問いかけ、答えを探していました。

 「母は多くは語らず、自分の行動で見せてくれる人。祖父母が銭湯を経営していたこともあり、ホームレスにも『いつでも入りにきてください』と声をかけていました」。

 彩さんの誤った行動を諭してくれた恩師は、小学校卒業時に「あなたには人を楽しくさせる力がある。人を楽しませる人生を」と助言してくれたそうです。

その時、自分にできることに誠実に

 様々な仕事を経験しながらも、恩師と母の教えに導かれ、2015年にMUSIC PAB『ヒットパレード』をオープンした彩さん。昼間は外国人労働者支援の仕事をしながら、休日はマルシェや地域のイベントにも参加する多忙な日々です。

 “その時自分ができることに誠実に”がモットー。その結果が、今の仕事や活動につながっています。「外国人労働者がいなくては、八代の産業は成り立たない。であれば、彼らにとっても住みやすい八代に」というのが彩さんの願いです。

 2022年に運営側として参加したマルシェをきっかけとし、新たに地域密着型の『イオンマルシェ』を主宰。「外国人労働者も巻き込みながら、垣根のない、グローバルなマルシェを目指しています」。

自分にできることを常にカタチにしていく彩さんの実行力は、八代に新たな風を吹き込んでくれそうです。

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●山口 彩さん(47歳)

八代市生まれ。八代東高校国際科から中九州短期大学へ。保育園、外国人興行の会社勤務を経て、中国へ。帰国後、地元の酒造メーカー、冠婚葬祭会社、機器製造会社を経て、2015年にMUSIC PAB『ヒットパレード』をオープン。

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