【離婚後の氏(名字)の変更について】
■相談内容
私は5年前に離婚をし、当時、小学生だった子どもの親権者になりました。小中学生の間に子どもの氏(名字)が変わるのは避けたかったので、離婚の際には婚姻中の氏を称する届出をしました。今年、子どもが高校に進学します。これを機に、私の氏を旧姓に戻したいと考えています。このようなことは認められますか。
■回答
親が離婚をするとき、子どもはさまざまな葛藤にさいなまれます。親の離婚を学校の友達に詮索してほしくないという思いが生じることも少なくありません。そこで親としても、離婚後、子どもが大きくなるまでは氏を変えたくないと考える方も多くいます。今回は、まさにこのような理由から離婚時に婚姻中の氏を続称することにしたけれども、子どもが大きくなったので旧姓に戻したいという方からの相談です。
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日本の戸籍制度のもとでは、氏は戸籍編製の基礎となるため、安易に変更されるべきではありません。もっとも、戸籍法では、家庭裁判所が「やむを得ない事由」があると判断して許可したときには氏の変更ができることとされています。
今回の事案でも、家庭裁判所に申立てをして、許可が得られれば、氏の変更ができることになります。また、今回の事案のような理由での申立ての場合、実際には別の濫用的な目的があるなどの事情がない限りは、「やむを得ない事由」の存在が認められやすいのではないかと思います。
同じ戸籍内に15歳以上の者がいる場合には、裁判所は、許可をするにあたってその者の陳述を聞かなければなりません。高校生の子どもがいる場合には、適宜の方法で子どもの意見が確認されることになります。
今回の事案では、以上の手続きを経ることで、氏の変更が認められる可能性があります。
なお、今後、共同親権の制度が施行されて、離婚時に子どもが共同親権に服することとなった場合には、上記とは別の考慮も必要になると思われます。
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