山本製菓店
山本健之さん 真弓さん
懐かしい故郷の味
夫婦二人三脚で守る創業百年の製菓店

山本健之さん(62)。八代工業高校卒業後、八代市内の工場に就職し定年後も短時間社員として勤務。3年前に3代目として製菓店の暖簾を引き継ぐ。
真弓さん(58)。歯科衛生士として活躍後、夫の助手として製菓店を盛り上げる。
祖父、父から受け継いだ味と技術
自然の恵を享受した里山の菓子作り
青々と茂る木々に囲まれた里山で、創業100年の歴史を紡ぐ『山本製菓店』。健之さんは3年前に父から店を引継ぎ、3代目として菓子作りを続けています。
「祖父、父の代は練り切の生菓子やらくがんなどの菓子の製造販売のほか、酒類や雑貨なども取り扱う、町の“何でも屋さん”みたいな感じでした」と語ります。「幼少期、祖父や父が、リアカーを引いて作った菓子を売りに行っていた姿が今でも記憶の奥深くに残っている」と言います。
先代が亡くなり店を引き継いだ健之さんは現在も、定年まで勤めた会社に短時間勤務。金曜、土曜、日曜の週3日間、朝4時から菓子づくり職人として腕を振るっています。「実は父の他界後店を閉めることも考えたのですが、祖父と父が苦労して揃えてきた設備にも思い入れがあり、どうにかつないでいく方法を」と考え、週3日の営業で暖簾を守っていくことを決めたそうです。
とは言え、小麦や米、小豆、砂糖などの材料費の高騰、品薄が続く今。「様々な仕入れ先を検討しながら、小麦は北海道、米は地元坂本町産など国産を使用し、また水にもこだわり、「無添加で安心して食べていただけるお菓子を一つ一つ手作りしています」。
山本製菓店の商品はさかもと温泉センター球麗温や憩いの家(元湯)、二見農産物直売所などでも販売
ぼた餅、みょうが饅頭に新商品も
坂本町の名物を他県にも広げたい
山本製菓店の名物と言えば、ぼた餅にみょうが饅頭。「以前は裏山に行けば、材料となるみょうがの葉もどれだけでも手に入ったのですが、今は鹿やイノシシとの闘いですよ」と笑います。
自然と共存しながらの菓子作り。気候変動に合わせて粉を練る水分量を微妙に調整するという生地づくりも、健之さんの手にかかると丁度いい塩梅の柔らかなお饅頭に。職人技を見せる健之さんの隣で、明るい朗らかな笑顔を覗かせる真弓さんとの掛け合いが、山本製菓店ならではの優しい味を作り出しているように感じます。
人気の「地蔵さん万十」は、ほんのりバターが香るカステラ生地に、しっとりとした白あんが絶妙なハーモニーを醸し、和菓子に洋のエッセンスを取り入れています。黒糖おこしや豊年おこしなど創業当初から続く商品に加え、今年8月からは熊本名物のからいも団子の製造もスタートするそう。「昔からある商品を受け継ぎつつ、新たな商品の開発も少しずつ手掛けていければ」と前を見据えています。
名物「みょうが饅頭」(3個入り、400円)、「地蔵さん万十」(300円)、豊年おこし(400円)、黒糖おこし(300円)、からいも団子(3個入り、400円)
●お問い合わせ:山本製菓店
住所:八代市坂本町百済来下2010-1
TEL:0965-45-8102
HP▶︎https://r.goope.jp/kutaragi-sakamot
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