あの人に会いたい。File.22

お客様の想いをカタチに
金と銀の袴から始まった一大旋風

 八代高校を卒業後しばらくして、「自分を試してみたい」と渡米。当時興味のあったブライダル業界の視察ツアーに参加したことで、少しずつ人生の歯車が動き出しました。約30年前、既にアメリカでは数名の登録カメラマンから自分のイメージに合ったカメラマンと衣装を選び、撮影するのが一般的でした。しかもその場で出来上がった写真にデジタル処理を施し磨きをかけるブライダルフォトの技術の高さとスピード感に驚愕。「日本のブライダルとの違いを目の当たりにし、自分の力不足も痛感した」と振り返ります。

 帰国後不思議なめぐり合わせで、独立してスタジオを持ちたいというカメラマンと出会い、衣装のコーディネートやヘアメイクを得意としていた池田さんは一緒にブライダル事業を立ち上げることに。数年後の2003年、「全身金と銀の衣装で成人式に行きたい」という2人の青年の依頼が舞い込み、ここから北九州市の成人式が毎年注目を集める序章となりました。依頼を快諾したものの、取引のあった業者に尋ねても金や銀色の生地はなし。それでも「お客様の想いをカタチにするのが私の使命」と腹をくくり、赤字覚悟で生地づくりに取り掛かり、成人式には誰もが振り返る全身金銀の衣装を完成させました。

ピンチをチャンスに!
限界突破の心意気で地元に恩返し

 従来の和装概念を覆す池田さんの衣装が毎年注目を浴びるごとに、心ない中傷や未払いも。災害や新型コロナ、病までもが追い打ちをかけた時期もありました。

 しかしまたもやニューヨークでの個展が転機となり、池田さんのアーティスティックなデザインが海外で注目を集めるように。ニューヨークのファッションウィークでは大喝采の中、新たな日本の美の世界観を発信。昨年はミスインターナショナル世界大会日本代表のナショナルコスチュームを担当するなど、活動の場を世界に広げています。「常に求められることの少し上を意識している」という池田さん。「表現することの面白さは尽きません。こらからも自分がワクワクすることを追求し、そこで得た力を地域への恩返しにつなげていきます」。

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プロフィール
●池田雅さん(53歳)
1971年、八代市生まれ。八代高校卒業。数か月の渡米でブライダル産業への見識を深める。199610月、北九州市でブライダル事業開始。2022年、ニューヨークで個展開催。2023年、NYのファッションウィーク、2024年にはパリコレにも参加。ミスインターナショナル世界大会日本代表のナショナルコスチュームを担当。