あの人に会いたい。File.09

地域の魅力を自分の視点で発信 行政と地域住民の橋渡し役に

 屈託のない笑顔に、礼儀正しい所作、柔らかな語り口調…。松田萌花さんは、2022年に新卒で同町初の地域おこし協力隊として着任した若き精鋭です。大学で地域共創学部に所属していたこともあり、学生の頃から行政や地域おこし協力隊として働く人との交流も多く、仕事としての魅力を感じていました。

 しかし、いざ就職活動を始めると、安定的な一般企業への就職とのはざまで心が揺れ動く時期もありました。「内定をいただいていた企業もあるのですが、令和2年7月豪雨で甚大に被害に見舞われた中でも、地域のために何かを始めようとしている人々の熱い思いに触れ、ここなら自分のこれまでの学びを生かせるかもしれない」と一人、坂本町での仕事に飛び込みました。

とは言っても、年々高齢化の進む坂本町。地域協力隊としての関わり方の前例もない中で、おじいちゃん、おばあちゃんほど歳の離れた住民とどのように交流を深めていくか、手探りの状態が続きました。「まずは、方言が分からず、何を話しておられるか理解するところからでした」と笑います。

顔を覚えてもらうために、町内を回りながら会合に参加することも。慣れない方言で自分から話し掛けてみるなど、少しずつ住民との距離を縮めていたったといいます。

今では地域住民と行政の中間的役割を担い、町の魅力をSNSで発信したり、坂本町の食材をPRするイベントの仲介をしたりするなど、萌花さんなりの若い感性を生かした町の活性化に力を注いでいます。

第一種銃猟免許を取得し 社会課題の解決と産業活性化にも意欲

 農業が主幹産業となる坂本町では、鳥獣被害も避けては通れない課題です。今年着任2年目となった萌花さんは、第一種銃猟免許、箱罠免許を取得。住民と一緒に、狩猟や解体のサポートに加わることもあります。「田んぼなどに仕掛けた箱罠を、毎朝見回りに行くことから一日が始まります」という姿からは、たくましささえ感じられます。

 今後は「さらに進んだ解体技術を学び、地域に還元していきたい」と新たな挑戦にも目を向ける萌花さん。山や川、幾重にも連なる棚田に石垣…。景観のすばらしさはもちろん、おいしい食べ物の宝庫でもある坂本町。「地域の方には当たり前過ぎて、その輝きに気付いていない方もたくさん。町外にだけでなく、今後はここに住む皆さんにも自分たちの町のすばらしさを再確認してもらえるよう頑張ります」。

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●松田 萌花ほのかさん(23歳)

八代市生まれ。幼少期を八代で過ごし、高校は熊本市内の真和高校へ。卒業後は福岡の大学に進学し、地域共創学部で地域づくりの楽しさに触れる。2022年4月から坂本町の初代地域おこし協力隊に。着任2年目。

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