やつしろの働く人 #24

やつしろぷれす やつしろの働くひと

自然に感謝しながら作りあげていく

陶芸家  上村 慶次郎さん

八代市海士江町在住。熊本県立八代工業高校インリア科を卒業後、イラストレーターの専門学校に通いながら仕事を始める。営業職や製造業、建設業など様々な職種を経験したのち、陶芸家の道へ。現在、坂本町袈裟堂に『一夢庵風流窯(いちむあんふうりゅうがま)』という工房を構え、独創的な作品を作り続けている。熊本や京都、名古屋にて個展を開催予定。

土に触れて表情を読み解き、作品に描き出す
八代市坂本町袈裟堂で、立体的な彫刻が施された独創的な陶器を製作している上村さん。魚や龍のレリーフ、立体的な鳥、実物と見紛うばかりの蟹などが陶器に登ってきたのかと思うほど精巧で、まるで生きているかのような生物描写が上村さんの作品の特徴です。

小さい頃から絵が好きで、漫画や読書感想画などを弟妹の分まで描いていたそう。八代工業を卒業後、専門学校に通いながらイラストレーターの仕事をし、その後は営業職、パン製造業、建設業など様々な仕事を経験されました。昼夜を問わず働くほど仕事熱心で、人に会って話すことが大好きとのこと。人を笑顔にすることを目標にして仕事に励むなか、型枠大工の仕事をしているときに粘土に出会い、造形に没頭していきました。

陶芸の道を志し、縁があって陶芸家の吉田明氏に弟子入り。自分の窯を『一夢庵風流窯』と名付けて活動するようになります。師匠から「地球は大きな焼き物だから、地球の土で焼けないものはなない」と言われ、新潟や沖縄など日本各地に赴いて、土の表情を見ながらその土に合わせた焼き方を独自に模索していきました。

自然に敬意を払い感謝の想いを込めて製作を
土づくり・釉薬づくり・ろくろ引き・乾燥・素焼き・本焼きと、手間暇をかけながら花器や食器などを納得して作り上げています。気分が乗らないときは作陶はしないそうです。「土は生きていて、自分の思いも吸い取ってしまいます。そんな思いで作るのは土に申しわけないですから…」と話します。

「作品は土、釉薬、手の平に存在するバクテリアなど様々な自然のおかげでできるんです」と上村さん。ひとつ一つ丁寧に作業して、失敗しても土を無駄にせず、次の作品の材料に混ぜて再利用しています。「これからも各地を巡って勉強を続けます」と、笑顔で話してくれました。

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