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【離婚の際のトラブル】 

 離婚の種別としては、当事者双方が離婚届に署名・押印して役場に届出をして行う協議離婚、裁判所の手続を利用して行う調停離婚判決離婚などがあります。このうち、我が国の離婚件数全体に占める協議離婚の割合は約90%に及びます。

 協議離婚は、当事者間で話し合いをして、離婚届の作成・提出まで協力して行われることになりますが、弁護士などの専門家の関与がないまま進められることが多いため、思わぬ問題が生じることもあります。

 例えば、次のような事案があります。

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 3歳の子どもがいる夫婦が離婚の話し合いをしました。夫婦は、離婚することについては意見が一致していたため、既にお互いが離婚届に署名・押印をし、その離婚届は夫が保管していました。しかし、子どもの親権をどちらにするかについては話し合いがまとまらず、離婚届の親権者指定の欄は空欄になっていました。最終的には妻が親権者となることで話しがつきましたが、妻は、離婚届の親権者指定の欄には、話し合いの結果のとおりに夫が記載してくれるものと信じて、自分では記入をしませんでした。後日、夫は、子どもの親権者として自分(父)を指定する旨記載をして、役場に離婚届を出しました。

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 この事案の場合、離婚届が受理されると、離婚自体は有効に成立することになります。また、このままでは子どもの親権者は父ということになります。これを話し合いの結果どおりの状態にするためには、妻側で、親権者指定協議無効確認の調停を起こす必要があり、調停での協議が不成立となる場合には訴訟で争うことになります。そして、これらの手続で無効が確認された後に、改めて親権者の指定の協議ないし審判を行うことになります。

 このように、安易に署名・押印済みの離婚届を相手方に渡してしまうと、思わぬトラブルとなることがありますので、十分に注意する必要があります。

 相手方に離婚届を渡す場合にはコピーをとっておいて、無断で書き換え等がなされたときのために証拠を残しておくことも考えられますが、そもそも書き換えがされないように、親権者となる側が離婚届を提出することにするのもトラブル防止になると思われます。また、相手方に署名・押印済みの離婚届を渡したけれども、相手方による書き換えの心配があるなどの場合には、離婚届が提出される前に、役場に離婚届の不受理申出をしておくことで、書き換えられた離婚届が受理されることを防止することができます。

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監修/高橋法律事務所 弁護士 高橋知寛先生

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