やつしろの働くひと Vol.66

やつしろぷれす やつしろの働くひと

“伝統の味”を家族で守る 5代目若夫婦の挑戦!

八代市日奈久東町在住。丸木浩嵩さん(36歳)。マリスト中・高校卒業後、慶應義塾大学に進学。2016年に帰熊。2年間実父のもと修業を積み、2018年から代表社員に。2019年、果歩里さん(36歳)と結婚。妻、長女との3人暮らし。

一番人気の「麦みそ」(1kg480円)ほか、「田舎みそ」「米みそ」「あわせみそ」(各510円)、「無添加みそ」(620円)など、商品のラインアップも豊富

暮らしと共にあるみそづくり 伝統の重みを力に変えて

 日奈久温泉街の中心部、なまこ壁という白壁が連なり、風情ある町並みが今なお残るエリアがあります。細い路地の一角に、大正3年から店を構える丸屋商店。八代市内の小中学校の給食はもとより、多くの市民の食卓に根付いた“郷土の味”として親しまれているみその製造、販売を行う老舗です。

 老舗みそ蔵の長男として生まれ、東京の大学に進学した浩嵩さんは2016年、熊本地震後に帰熊。4代目の父のもと、みそづくりの修業をスタートした2年後、父の急逝に伴い家業を継ぐことになりました。「みそづくりは幼いころから生活の一部のようなもので、あって当たり前、空気のようなものでした」。

 しかし経営となるとそう簡単にはいきません。「先祖代々受け継いできたこの店を、自分の代で衰退させてはならないというプレッシャーはありました」と語る浩嵩さん。その伝統の重みを力に変えて、自分たちなりに、新たな販路を開拓したり、小袋商品を作り売り方を変えたりするなど、5代目として新たな店づくりに力を注いできました。

 妻の果歩里さんも「まったく分からない世界に嫁いできて、最初は米を計る単位もピンとこなくて。みそづくりの工程を自分の中に落とし込めてからようやく、SNSを使った情報発信や他県の同業者との関係性を構築するなど、少しずつ自分の役割が見えてきたような気がします」と話します。

風情ある町並みに店を構える丸屋商店。店の周辺には、甘く、やさしい麹の香りが漂います

店舗リニューアルに販路拡大 関連グッズづくりも視野に

 伝統の味を後世に繋いでいくためには、根気のいる手作業が続きます。「季節によって気温や湿度などが変わるため、その時々の気候を見ながら熟成期間を調整していきます。また、材料の配合などは、先祖代々当主のみが知る門外不出のレシピ。今は今後の継承も含め、私と弟の2人で共有しています」。

 来年、創業110周年を迎える丸屋商店。新たに、通りを行き交う人に足を止めてもらえるような、町並みに溶け込む店舗のリニューアルを計画するほか、グッズの販売など若い感性を生かした店づくりに目を向けています。「お客様の『おいしかったよ!』の声を励みに、オンラインショップなどをさらに充実させ、販路拡大にも力を入れていきます」と2人。5代目夫婦の新たな挑戦が続きます。

小売や卸の他に、個人のお客さまからの委託米を加工してみそ作りをすることも
米を蒸し、麹を作り、一定の温度管理のもと2日間寝かせた麹に大豆と塩を混ぜてみそのベースを作り、1ヶ月~2ヶ月間寝かせて、ふくよかな香りのみそが完成

●お問い合わせ:丸屋商店
TEL:0965-38-0007
住所:八代市日奈久東町209 

インスタ @HINAGUMISO.MARUYA1914
HP https://hinagumiso.jp/

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